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今の仕事だけを見ると、WebやLP、ビジネス設計の人に見えるかもしれません。
でも、私の根っこにあるのはずっと、
人やものが本来持っているものを失わずに、社会とどうつなげるか。
という問いです。
生物学の研究も、自然の中での仕事も、会社員も、LP制作も。
一見ばらばらに見える経験を振り返ると、ずっと同じものを、違う場所から見てきたように思います。

大学では生物学を専攻。
何気なく手に取った一冊の本をきっかけに、ウミホタルという生き物に興味を持ちました。
調べていく中で、「ここにはいない」と言われた海にも、自分でトラップを仕掛けてみたことがあります。
引き上げてみると、そこにはちゃんと光がありました。
その発見から研究へと発展し、
見留あゆみほか
「サイズヒストグラムによるウミホタル個体群動態の解析」
日本ベントス学会誌62号(2007)
として論文にもなりました。
誰かが「ない」と言ったから、ないと決めるのではなく、
自分で見に行く。
観察する。
確かめる。
今思えば、この頃から私のものの見方はあまり変わっていません。
父は陶芸家でした。
作品をつくることには熱心でも、売ることは得意ではない人。
それでも父のまわりには、父の器を心から好きでいてくれる人たちがいました。
陶器市で店番をしたり、父の仕事を身近で見たりする中で、もうひとつ印象に残ったことがあります。
同じような作品でも、
どこに置かれるのか。
誰と出会うのか。
どういう文脈で見られるのか。
それによって、価値の受け取られ方も、価格も変わる。
ものそのものが突然変わったわけではありません。
価値がないのでもない。
価値と、価値が届くことは別なんだ。
今の私が「配置」や「翻訳」を大切にしている原点のひとつは、ここにあります。
大学院まで生物学の研究を続けた後、自然体験の魅力を伝えるアウトドアの世界へ入りました。
土地勘も人脈もない場所へ行き、自然の中で働く。
好きなことを仕事にできる喜びがありました。
一方で、そこで痛烈に知ったことがあります。
好きなだけでは、続かない。
やりがいがあっても、生活にはお金が必要です。
仕事を続けるには時間も、体力も、設備も、人の手も必要。
「いいことだから」
「好きだから」
「誰かのためになるから」
それだけで走り続ければ、どこかで誰かがコストを負担します。
当時の私は、その負担を自分自身で引き受けようとしていました。
結果として、心も体も、経済的な余裕も削れていった。
大好きだった仕事を離れたときは、自分が夢を諦めたように感じたこともあります。
でも今は、少し違う見方をしています。
夢を諦めたのではなく、
夢を続けるためには、夢が生きられる構造まで必要だった。
そのことを知った経験だったのだと思います。
アウトドアの仕事を離れた後は、大手企業、省庁、IT・人事関連、ICT教育教材、少人数の企業など、規模も業種も異なる場所で働きました。
自然の中とはまったく違う世界です。
そこで、社会や経済がどう動いているのかを別の側から見るようになりました。
お金があればすべて解決するとは思っていません。
でも、お金を無視して社会の中で何かを続けることもできない。
病院に行くにも、電気を使うにも、サーバーを動かすにも、誰かの専門技術を借りるにも、コストがあります。
誰かが便利な仕組みをつくってくれたから、自分の時間を何時間、何年と使わずに済むこともある。
だから今は、
お金がない社会と、交換コストがない社会は同じではない
と考えています。
お金を介さなければ、時間や労働、物、人間関係、誰かの善意が代わりに交換される。
何を使って交換するのかが違うだけです。
だからこそ、誰かの専門性を借りたら対価を払う。
自分の専門性を渡したら、きちんと受け取る。
その方が、私は気持ちよく社会と関われます。
2019年からWebデザインを始め、LP制作の世界へ。
下積みを約2年、その後一人で約3年制作に携わり、LP本体や画像デザインを含め120件以上を制作してきました。
関わった事業規模も、年商数百万円の個人事業から1億円を超える事業までさまざまです。
そこで学んだのは、
いいものをつくることと、選ばれることもまた別
だということでした。
価値があっても、相手に分かる形になっていなければ届かない。
誰に届けるのか。
どの面を見せるのか。
どんな順番で伝えるのか。
どこで出会うのか。
そうした設計によって、届き方は変わります。
一方で、マーケティングを学ぶほど、違和感を持つものもありました。
不安を煽る。
不足を刺激する。
人を意図した方向へ動かす。
集めて、教育して、刈り取る。
もちろん、ビジネスには人と出会い、選んでもらうための仕組みが必要です。
でも私は長い間、
マーケティング=人を操作するもの
のように感じていました。
そのため、自分に強い思いがあっても、それをビジネスにすることには、どこか後ろめたさがありました。
今は、その線引きが以前より見えるようになりました。
自分の思いは、隠さなくていい。
むしろ、個人で仕事をするなら、何を大切にしているのか、どんな世界を望んでいるのかは、ちゃんと見せた方がいいと思っています。
私はこう思う。
私はこれを大切にする。
だから、こういうものをつくる。
ここまでは、自分の仕事。
でも、
「だから、あなたもそう思うべき」
に変えない。
「私は違う」と離れる人がいていい。
「それ、私も大切にしたい」と近づく人もいる。
その反応をこちらで決めない。
相手にも、自分で選ぶ自由がある。
私にとってビジネスとは、全員を自分の考えに巻き込むことではなく、
自分の立場をきちんと見せた上で、必要としてくれる人と交換をつくること
なのだと思っています。
好きなことだけでも続かなかった。
お金だけを見ても続かなかった。
思いだけでも届かなかった。
届かせようとして、人を操作するのも違った。
いろいろな場所を通って、今たどり着いているのが「自然設計」という考え方です。
人や事業の内側にあるものを、無理に別のものへ変えるのではなく、まず観察する。
そこにすでにある価値や、自然に動いてしまうものを見つける。
そして、それをそのまま投げるのではなく、
誰かが受け取れる形へ翻訳する。
必要な場所へ配置する。
社会の仕組みと接続する。
お金も、時間も、技術も、他者の力も使いながら、
自分も、相手も、関わる人も、続いていける循環をつくる。
自分を失わずに。
相手の自由も奪わずに。
でも、社会から離れない。
現在は自然設計デザイナーとして、Web・LPの設計や、ビジネス設計プログラム「RootBloom」などを通して、その接点をつくる仕事をしています。
山梨生まれ、栃木育ち。
秋田、広島、鹿児島の離島、福井、東京で暮らした経験を経て、現在は、関東を拠点に活動しています。
登山、海、焚き火、貝殻拾い、写真、ものづくり、お酒、人の人生の話を聞くことが好き。
2024年からは、不定期で焚き火会も開催しています。
自然の中を歩いていると、人や仕事、社会について考えていたことが、不意につながることがあります。
自然の中で起きていることと、人間社会で起きていること。
その間を行ったり来たりしながら、
どうしたら、その人がその人のまま、社会の中で生きていけるのか。
これからも、たぶん私はずっと、それを観察し、考え、形にしていくのだと思います。

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